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 造園用アルミ三脚  果樹園用アルミ三脚  お問い合わせ


四方山話・目次
 
◆ コロナから4年たった今
◆ アルミ材の高騰のはなし
◆ S造園様からの注文
◆ 諸行無常
◆ 大変革の年とし2020年
◆ 三脚の地域性  (懐古)
◆ 信州花フェスタ2019・・・
◆ 造園プロフェッショナル用・・・
◆ 三脚のカップ(ツメ)
◆ 秋晴れの出来事
◆ 潮目が変わった
◆ 安全から安心へ
◆ ブドウ摘粒作業
◆ プロの使う道具
◆ 2011年に思う
◆ 榛名にて
◆ 国産のアルミ製品
◆ 信州上田のイルミネーション
◆ 北沢初代の三脚
◆ 溶接作業(TIG) 
◆ シルバー人材センター講習会
◆ 冬の果樹園
◆ 「点」から「面」へ
◆ 一輪車のタイヤ
◆ 焼却炉をアルミで作った
◆ アルミ製の雪つき 
◆ センサー付き三脚
◆ リベット止めのアルミ三脚 

◆ コロナから4年たった今

 2020年2月ごろより日本でもコロナの感染者が出始めた。
日を追うごとに多くの人が感染し、人の集まる場所や換気の良くない場所などの集まりが制限された。多くの人がコロナにかかり多くの人が亡くなった。企業も感染を恐れ在宅の仕事が増えた。
“人の集まりが大きく制限された4年間であった。”
ワクチンを私は、何度か接種し今のところかからずにすんでいるが私の周りでもコロナにかかった人が大勢いる。今では、コロナで重篤になる人も少なくなり新型コロナウイルス感染症の位置づけが昨年(令和5年)5月から「2類」から「5類」の位置づけになった。
マスクを外す人も多く現れ経済活動も盛んになってきている。多くのインバウンド消費も出始め多くのところで人の動きが活発になってきた。

踏み台F-タイプB18 弊社でもコロナ感染者がでてから車の乗り降り用ステップの踏み台F-タイプB18が、デイサービスなどの介護施設からの問い合わせが減った。バス会社においては、注文がこなくなった。
それが「5類」への移行後、特に今年になってから何件か注文を頂くようになってきた。
踏み台F-タイプB18のご注文を頂いただくようになり踏み台を通して多くの人が観光旅行に出ているのが実感できる。
その間、観光業界も苦労されたのだろう。
和歌山県のバス会社さんの注文  (2024年4月)
                            


◆ アルミ材の高騰のおはなし

 「アルミ四方山話」も流石に37年間、その時々で見てきたことを書いてきたがネタを探すのが大変になってきた。

また 弊社のホームページをより見やすくなるよう日々少しずつではあるが改善するように努めてきた。
ちなみに弊社の製品をより詳しくお客様に紹介できるのも「弊社でホームページを製作」しているからだ。
お客様からのお問い合わせの際の疑問に思うことをホームページ上でお答えするようにやってきた。

近年は、多くの原材料が値上げしているがアルミも同じだ。
アルミの相場は、NSPといって3カ月の平均が弊社の仕入れに反映される。ここ数年は、甚だしい値上げになっている。
また同じアルミでも1000番から7000番までの品番によっても値上げ幅が違うという様な時代になった。
NSPとは別に入っている些細な合金の種類によっても値上げ幅が違ってくるというのだ「添加金属の価格転嫁」(フォーミュラ化)だ。相場でアルミが下がっても入っている添加金属によっては下がるのではなく値上げになるのである。
アルミの仕入れ相場を長年、見てきたがまた新しい時代に入ってきたのを感じる今日この頃である。
                                      (2022年12月)


◆ S造園様からの注文

 「謹賀新年」には、ふさわしい記事である!!
昨年、12月も押し迫ったころ千葉県匝瑳市の植木屋さんから電話が来た。
父が生前から使っていた三脚(メーカー)を探していたというのである。
お父さんは、5年前に亡くなったとのこと。
お名前は、S様。
KSN首振り型(支柱スライド式)10号、昔から地元で修理をして使っていたがいよいよだめになり新しい三脚を探していたという。
息子さんの代になりメーカーが解らずお母さんに聞いたら昔のノートが出てきて弊社を知って電話を頂いたのである。
30年以上前から弊社の三脚をお使いいただいているS造園さんの息子さんからだった。
Sさんは、お父さんを知っていることに驚いていた。それもそのはずである。
”27年前の昔”のことである。
その三脚は、S造園のお父さんとお仲間さんが一緒にきてその時に買ってくれた三脚であるからである。
下の写真の『1994年(平成6年)のノートの3月23日のメモ書き』にS造園様、首振り型10号と書いてある。
Sさんのお父さんは、どのような方かというと千葉県匝瑳市の多く植木屋さんが弊社の三脚をお使いいただいているが、最初に弊社の三脚を紹介してくれた方と記憶している。
その「息子さん」である。

後日、電話で今お使いのKSN首振り型10号は、1994年(27年前)にお父さん買われた三脚ですと・・・・。
27年前のノート メモ書きにS造園様とある

Sさんもこのノートの写真を見ると驚かれると思う。

※ S造園様、KSN首振り型7号と10号をご注文いただいた。
                                     (2022年1月吉日)


◆ 諸行無常

昨年、長野市内の園芸植木市場が閉鎖した。
千葉県匝瑳市の植木屋さんは、水曜日に行われるこの市場の市の帰りに寄ってKSN首振り型(支柱スライドタイプ)の三脚を持っていってくれた。
今でもそうだが当時から注文を頂く三脚は、KSN首振り型の三脚オンリーである。
当時は、植木を運ぶ大型のトラックの帰り車に多くの三脚を持って行ってくれたのだ。
景気後退後は、多くの植木屋さんも市場に来るのが年々減っていった。

匝瑳市の多くの植木屋さんは、今もご注文を頂いているが
昨年まで毎年のように仲間に頼まれた三脚を弊社によって持って行ってくれた植木屋さんもいた。その植木屋さんから昨年の暮れに電話が来た。市場が閉鎖になるので「北沢さんへ寄ることができなくなった」とのこと。
地元の職人からは、閉鎖の話は聞いていたがその植木屋さんは、お付き合いが長かったのでわざわざ電話を入れてくれたのだ。

匝瑳市の植木屋さんの多くは30年近く弊社の三脚をお使いいただいている、まさしく『ロイヤルカスタマー様』のはしりだ。

最初のころに三脚を千葉にもっていってくれた植木屋Aさんから電話が来た。
長らくご無沙汰をしていた方だったが「北沢さん、商売をやめるのか」と言われた。
当時、市場に来ていたがもう年配の植木屋さんなので市場の閉鎖が、勘違いされてこのような話になったようだ。
勘違いされてでも弊社に電話をくれたということは、キタザワの商品を通して気に留めていてくれたのだ。

私たちの『ものつくり』を全国の職人さんに心してお届けしていかなければという思いを改めて感じさせてくれた。

ロイヤルカスタマーとは、
「継続的に」自社ブランドを購入してくれる。顧客が長期的に何度もその企業の商品をリピートしていること。

                                     (2021年4月)


◆  大変革のとし2020年

今年の長雨は、九州の各地に大きな災害をもたらし長い梅雨が明けると今度は、各地で猛暑の日が続いた静岡県浜松市では、国内の観測史上で最高の気温に並ぶ41.1度が記録されるなど尋常ではない暑さになった。
アメリカでは、カリフォルニア州で摂氏54.4度になったという記事もあった。
世界中でこの様な異常気象の記事が年を追うごとに増えている。
ネット記事を見ていたら「地球の温暖化に伴い日本でも昔から言われている果樹の産地が変わる」という記事を見つけた。
「国内の果樹栽培は、気候変動の影響を受けている」それが速い速度で進行している。
2004年(平成16年)にこのページ「あるみ四方山話『冬の果樹園』」で地球温暖化の事を書いてから久しいがより以上に深刻になっているのは間違いない。

今年は、世界中で新型コロナウィルスの感染拡大で生活スタイルやビジネススタイルが大きく変わり、物を売る難しさがより一層顕著になった。
弊社では、『ロイヤルカスタマー様』という言葉をHPの要所〃に使い始めた。
長年にわたり、弊社のアルミ製品をご購入頂き、お使い頂いているお客様(職人さんや農家の人)である。
長くお使い頂いている人では、孫の代になってもご注文を頂いている。
その様な多くの人たちが弊社を支えてくれているのをこの仕事をしてきて今年ほど感じることはない。
造園職人さんの道具は、屋外で使うものであり多くのお仲間さん達で情報を共有する。
ここ数年、奈良県の(私から見ると)若い職人さんからご注文を頂くことが多くなり、お話を聞いてみると「○○造園の○○さんから」ということで以前から弊社の三脚をお使いのお仲間さん名前が出る。
先日、北海道の職人さんへ三脚をお出しした、初めてのご注文と思いきや仕事の関係で奈良県のある職人さんとの関係で弊社の三脚を知ってのことであった。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにビジネススタイルは、「良きにつけ悪しきにつけ」大きな変化を迫られている。
これからいつまで続くかわからないウィズコロナ時代になり働き方がどう変わるのか変えなければいけないのか。
私たちの仕事は、職人仕事であり、今までやってきたものをこれからどのように生かした上で再構築をしていくのか・・・。

最近よく言われる「アフターコロナ」をも見据えていかなければいけない。

                                       (2020年9月)


三脚の地域性  
令和二年、新年を迎えた。
昨年からご注文を頂いたリピーターさんからの初荷の三脚もあり年明け早々にお出しした。

近畿地方の取引先へ相手先ブランド製品(OEM)としての昨年12月にもお出ししたO社様。
独特の三脚の特徴を持つ作りで、三脚の支柱にスライド装置を付けスパイク(カップ)には、滑り止めの剣が出ているのである。全国でも有名な柿の生産地で、その柿に使う三脚は、高さのある木には育てていないのであろう4号・5号と短い尺の三脚である。
OEM製品荷積み
令和元年12月にOEM製品の荷積み

長年全国の多くの地域の三脚を見てきて、その地域独特の特徴を持つ三脚が幾つかあった。
むかし福島県で見た三脚のスパイクがアングルでそのアングルが大変に長く15㎝以上はあっただろうか、長すぎるため外側に一本別に細い補強が入っているのである、その地域は、かなりの傾斜地での果樹栽培であった。
当時、地元の販売店に話を聞いたらこのようなアングルでないと取り扱うことができないということであった。

また作る職人も減ったようだが、りんご産地の青森県というと木の脚立だ。
地元の長野県北佐久郡立科町五輪久保という地域では、リンゴ栽培の作業に昔は、青森県の木の脚立を使っていた。今では、多くの農家さんが弊社のスタンダード型の三脚をお使い頂いているが、当時この地域の農家さんからアルミ四脚の脚立の注文を頂いたのが、お付き合いの始まりであった。
ある農家さんが、なぜ当初のアルミの四脚から三脚になったか教えてくれた。それは、強固な溶接構造のため起伏のある場所で4本の脚だと足の一脚が地面から浮いてしまうことがあり作業をする際に不安定になってしまうのであると言われた。それに対して木の四脚は、重量はあるが作業の際に人が乗ると地面に馴染むというのである。

北佐久郡立科町五輪久保
北佐久郡立科町五輪久保

りんご栽培が盛んな長野市K地域でもアルミの三脚と言えばアングルのスパイクであった。この地域もやはり傾斜地でのリンゴ栽培である。

昔のアルミ三脚のスパイク(カップ)がメーカーによっては、爪の先を四隅が簡単に曲げてあり地面にくい込むことがなく傾斜地では、三脚が滑って開いてしまうという問題があったようだ。
それでより地面にくい込むアングルのスパイクになった地域が多いように思う。

しかし、果樹農家仕様の国産のアルミ三脚が少なくなり地域にあった三脚を作るメーカーがないのが現状ではないか。


令和二年の初荷!!

全国の多くの庭匠さんからご注文頂きました。

初荷の三脚

                                    (2020年 1月)



◆ 信州花フェスタ2019~北アルプスからの贈りもの~

4月28日は、「よい庭の日」にあたるそうだ。
日本造園組合連合会が2002年に制定したとのこと。 

朝、出勤途中コンビニによると弊社のアルミ製品をお使い頂いている職人さんから声をかけられた。
「信州花フェスタで賞を頂いたんで見に行ってください・・・」。

2019年4月25日から6月16日まで信州花フェスタ2019が長野県松本平広域公園(信州スカイパーク)をメイン会場としてサブ会場、サテライト会場など場所を変えて開かれた。
信州スカイパークをメイン会場とする場所では、庭づくりの技術を発信する国内最大級のガーデンショーが開かれました。
「信州の庭」というゾーンでは、多くの造園や園芸の専門家そして次世代の担い手になる高校生の作品など多数展示されていました。
そこで庭園出展コンテストも行われていました。

大きな祭典でもあり私も是非見たいと思っていたので後日、信州スカイパークへ出かけた。
多くの職人さん達の出展されている力作の庭園を見て写真も撮らせて頂いた。
県内外の企業や団体、学校、グループなど59作品と多くの展示している中、私に声をかけてくださった職人さん達の作品は、茶室から眺める自然に組まれた石組が大変素晴らしく最優秀賞にあたる『国土交通大臣賞』を頂いておりました。
またキタザワのアルミ製品をお使いの多くの造園業者さんが各賞を頂いておりました。

信州花フェスタ風景 出展している造園業者紹介 出展している造園業者紹介
  多くの職人さん達の作った「力作の庭園の写真」は、載せておりません。

  
「信州花フェスタ2019~北アルプスからの贈りもの~」

                                  (2019年 6月)



◆ 造園プロフェッショナル用首振り型アルミ三脚  ~ 追記 2021.09 ~
 
造園プロ用の首振り型三脚は、別のページでも紹介している。
竹や丸太を使い職人が自ら作っていた脚立は、松葉型であった。

昔の三脚は、構造上支柱の開閉には、前後のみならず左右の振れがでた。
その振れは、植木の生い茂った庭の中で作業性がよく仕事の能率があがり、起伏にとんだ場所では支柱を左右に振ることによって安全使用範囲を作り出すことができる。
ここだけ聞いていると最高の機能性を持った三脚に思えるが、しかし首を振ることによって直上直下、安全使用範囲を超えると転倒の危険性が増す。首振り型は、転倒に対する配慮がより一層必要になる。

『スタンダードタイプ(支柱が固定)三脚は、傾斜地での使用の際に長尺物になるほど三脚のハシゴ体(ステップ)が斜めになり安全使用範囲から重心が外れ転倒の危険がある』そのため職人さんからよく聞くのがハシゴ体を地面に対して水平にするため「木っ端」をひいて水平を出しているという。

弊社の「お客様の声」にも多く寄せられてもいるが
首振り型のアルミ三脚は、千葉県、神奈川県をはじめ全国多くの庭匠の人にお使い頂いてご好評を得ている。
KSN首振り型においては、「全国もで有数の植木のまち」千葉県の匝瑳市の植木屋さんの多くが昔から弊社の三脚をお使い頂いて子供の代にまでなっている

職人さんでも弊社のホームページを見てはじめて検討されている人もいるが、問い合わせの際に「お使いになったことのない職人さん」には、お勧めはしておりません。

しかし、首振り型をお使いになったことがあり弊社のホームページをみて
「以前から首振り型を探していました!!」
という職人さんも多くいらしゃいます。

首振りタイプといえば天板の付いたKSN首振り型で販売してきた。

 昔のカタログ  弊社では、昭和から平成に元号に変わったころに松葉型の三脚を何年か販売していたことがあったが、まだ今のようにインターネットで多くの職人さんに見ていただけるような時代ではなく製造をやめた経緯ある。
数年ほど前から松葉型ASN首振り型シリーズを全国の庭匠さん達にご紹介したところ天板があるタイプと違い「込み入った松の枝の間に挿すのに良い」ということでご注文を頂いている。

昨今、墜落、転落をなくし安全を確保する。
特に安全、安心に関心のいく時代で怪我、事故などの災害があってはならない。

 30年ほど前の松葉型のパンフレット  

大手アルミ三脚脚立メーカーや多くの販売店(ホームセンター、ネット通販など)のメインターゲットの客層、一般家庭の方の庭の手入れを含めてのアルミ三脚脚立の販売であるが、

弊社のアルミ三脚は、プロ仕様での製品である。
長年、多くの職人さんのアドバイスを頂き今に至っている。
特に首振り型は、造園業・植木業などプロフェッショナル用に特化した庭匠用三脚
である。


首振り型は、支柱が前後左右に自由に振れるので支柱のセットの位置によっては、安全使用範囲が狭くなる。
(注)弊社では、庭の手入れをする一般の方には、お勧めはしておりません

以前、職人さんが首振り型三脚から転倒したとのこと。
その際、鎖掛けが破損して転倒したといわれた。しかし、その職人さんの転倒原因は、上段で身を乗り出して安全使用範囲を外れての作業であったために鎖掛けがもげてしまっての転倒であった。
「使用上の注意」にも従っておらず転倒防止のロープをも取っていなかった。

参 考 労働者や事業主の皆さんは、2メートル以上での作業の際は、労働安全衛生規則第518条から521条に示されているような安全対策等の「危険防止策」をとってください。また 墜落時保護用のヘルメットを着用し、墜落防止用器具をお使いください。
(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署の資料より)

「首振り型の左右の振れを制限するストッパーを付けてくれないか」という問い合わせがあったりもする。
首振り型の三脚の支柱の左右の振れにストッパーを付けているメーカーはある。しかし弊社の首振り型は、その様な仕様に作ってはいないと申し上げた。
長年、この三脚を販売してきて多くのリピーターの職人さんがおり、
職人さん曰く、「支柱が自由に触れないと『首振り』の意味がない」という。
また、左右の振れをストッパーで止めていると安全使用範囲(直上直下)を外れ、身を乗り出して作業をしているとなお転倒の恐れがあるというのである

プロの職人さんにも想定される危険を常に予知しながら「安全第一」に開き止めの鎖とロープ等で転倒・転落の防止対策を取って頂くよう注意書きやHP上で啓発をしております。

幼稚園や小学生の子供たちは、遊具の一輪車をヘルメットをかぶり上手に乗りこなす。
子供が乗る一輪車と同じように、首振り仕様の三脚は、転倒、転落の防止策取ったうえで職人さんが体で覚えるプロフェッショナル用の三脚である。

 2017年より三脚の事故の発生により「労働安全衛生規則第528号の3号」で啓発している「閉じ止め装置」を弊社でもオプション販売をしております。

                               (2018年10月)
  



◆ 三脚のカップ(ツメ)

 埼玉県の職人さんから三脚の地面に食い込むカップ(ツメ)が減ってしまったので部材として欲しいとの問い合わせが来た。
3年ほど前にその紹介ページを削除し、その当時のを見られての問い合わせでした。
(関心のある方は、よく見られていているものだと思った)
長年、三脚を販売してきていろいろなお客さん、職人さんの声を聴いてきた。
その中でも修理品に関して皆さんお困りのようだ。

 三脚のステップ(足場)に大きな枝落としてしまいステップを曲げてしまった。という職人さんもいらした。
 近くであれば「納得のいく修理の方法」でご相談にのるのだが、
遠距離の場合は、特に弊社に送る輸送の費用が大きなネックになってしまう。
送料がばかにならない金額であるから。

 電話口で枝を落とされた職人さんが「あれだけ大きな枝を落としてこの程度で済んでいるとは・・・・」と言っておられた。
 先日、お問い合わせをいただいた職人さんからの三脚の破損写真です。弊社では、このような本体が大きく歪曲破損した三脚は、修理ができません。

(※車で障害物にぶつけてしまう職人さんがいらっしゃいます)
三脚の破損写真
三脚の破損写真

 カップのツメの減った際にアルミの溶接も特殊ですので修理品の交換をやって頂けるお宅がないという話をよく聞きます。
以前ある職人さんが何ヶ所かをボルト・ナットで新しいカップの爪を取り付けてお使いなっているという方がおりましたのでご参考までに紹介しておきます。

カップの補強方法 ボルト・ナットで止める

 体を預ける道具ですので安全を確保してください。

                                  (2018年4月)



◆ 「秋晴れの日の出来事」

 10月下旬、週末になると大きな台風に襲われ長野県の各地でも収穫まじかのりんごに大きな被害をもたらした。
 11月になり秋晴れの日が多くなった某日、注文を頂いた三脚の配達に松本・安曇野へ行き、飲み物を買いにコンビニに入った。店の中は、何人かの人が私達と同じようにレジに並んで支払いをしようとしていた。
 店を出て車に乗ろうとしたとき私達の後ろから声をかけてくださった方がいた。

「三脚の作っている北沢さんですか・・・

 私達の知っている方かと・・・。
松本地域の造園職人さんには、キタザワの三脚をお使い頂いている方が多くいらっしゃいますので、

 「弊社のホームページをみて三脚を検討している」とのこと。

 トラックには『Al-Kitazawa』と書かれ配達の三脚が何本か載っていた。

 その方は、弊社のアルミ三脚KⅢS型(3ヶ所スライド式)を購入をご検討しているとのことでした。話されていたことが「スライド装置のこと」「首振り型のこと」など弊社のHPをよく見られているのを感じた。
 配達用の同じ型式の三脚を積んでいたのでご検討材料にと現物での商品説明をさせていただいた。

 この日の出来事は、弊社のHPを見られてご検討なさっている方が、こんな身近にいるのには、時代の変化の速さを感じた。

                          (2017年11月)



◆ 「潮目が変わった」

 アベノミクスによリ日本経済の景気の持ち直しによる恩恵を何らかの形で私たちも享受してきたように思うが、半年ほど前から景気の良くないという話が多く聞こえてくる。

 最近の中国経済の減速にもかかわらず供給過剰や原油安といった世界で起きていることが私たちの生活にも影響しているのか“財布のひもが固くなった”と言っている。
 鉄鋼やアルミといった素材を中国は、生産し続け供給過剰で世界の相場を下げているのが現状だ。

 アルミは、NSPといって弊社が購入する際は、3か月単位で地金の相場の変動を実勢購入価格に反映されている。アルミ材の相場の下げも近年になく著しい。しかし、弊社のようにアルミを製品の適材適所に強度を持ったものに変更していると価格に反映させることはできない。
 アルミの高騰の時にもアルミの材質を何度となく変えてきたにもかかわらず弊社の企業努力によって価格を上げずに販売してきたと思っている。
 日本製を使ってきたから製品の適材適所へアルミ材を変更できたのである。
 また、全国へ発送する際の送料も安くはない。

 “北沢さんは、アルミの材質を変えているといっているがどのようなアルミ材を使っているのか”とHPを見て問い合わせがきた。弊社のアルミ製品を検討しているお客さんは、そのようなことを聞いてくることはないので同業者か販売業者であることがわかる。電話口で話をしているとやはり中国製品を扱っているようである。最近は、経済成長に伴い人件費が上がり製品の高騰があるようである。

 また市場は、冷え込み昔のように数の売れる時代ではないのである。
 商品の差別化をすることにより需要を喚起して売っていく時代のように思っている。
 このような時代に何が売れるのか
 弊社もそうであるが各企業は、考え頭を悩ませていることであろう。

 最近、ネットや新聞紙上よく使われる言葉ある『潮目が変わった』である。
漁師さんだったら潮目が変わって魚が釣れなくなってもまた魚の釣れる潮目が来るのを待っていることができることだろう、
 自然相手であるから・・・。
 
 物を売っていくには、潮目が変わったら行動を起こさないで何もしないで待っていても何も起こらない。
 先をみて何かアクションを起こさないと何も変わらない大変難しい時代のように思う。

 この記事を書いている最中に九州の熊本県、大分県と近県に地震による甚大な被害が出ました。
 さぞ御傷心のこととお察し申し上げます
 多くの被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

                          (2016年4月)



◆ 補助用ストッパー
 ~スライド装置付アルミ三脚の補助用ストッパー~

 1989年よりスライド装置付アルミ三脚(KSシリーズ)を多くの職人さんにお使いいただいております。三脚の安全使用角度がワンタッチで出せることによる作業効率の良さによる評価を長年にわたって頂いております。
長年の販売実績があり職人さんの買い替えによるご注文も頂いております。
 スライド装置付アルミ三脚をご使用になられるお客様に、より安全にお使いいただきますように取扱い説明書等で使用方法ついて注意喚起をしてもおります。
各ユーザー様の使用頻度や使用状況などの作業環境が個々に違います。
 造園業の仕事は、植木の生い茂る中、起伏のある庭に石や塀といった多くの障害物があり作業環境が一律ではありません。
剪定作業のように作業の性質上、作業環境や作業条件の悪い中で仕事をすることもあります。
「2重の安全ロック(安全ストッパー)」を作ってほしいとのご要望がありました。
 弊社では、作業環境の悪い場所でより安全性を高めてお使い頂くよう、市販されております自在バンド(写真)をご紹介します。
作業環境の悪い場所や使用年数を重ねて三脚をお使いになっております職人さん、また多くの職人さんがおられる事業所で安全、安心に留意してお使い頂ければと思います。

※ (注)
スライド装置は、取扱い説明書に従い滑らないことを確認していただいた上でお使いください。補助用ストッパーは、あくまでも安全装置です。
●補助用ストッパー(装着バンド)は、スライド装置の底板より5ミリほど下げて装着してください。(ドライバーで緩まないように締め付ける。)


 固定式装着バンドは、弊社にも用意しております。

 
補助用安全装置
装着バンドをドライバーで
緩まないようにロックスする

1998年ごろのスライド装置
バンドの装着写真



 ◆ ブドウ摘粒用の作業椅子
 5月、ゴールデンウィークが明けるころから出始める商品がある。
まず山梨県からの問い合わせがあり、山梨が終わる頃になると長野県で注文を頂く。
ブドウ摘粒用作業台のアルチャーである。
出始めは、ハウスでの栽培の作業に使われる。
 アルチャーの販売を始めて、かれこれ20年以上になる。
 ブドウ農家にとって粒数の多いブドウの数を美味しいブドウにするために間引くのは大変な作業である。

今年は、平年より15日ほど早い梅雨明けであるが、
摘粒前のぶどう
この梅雨明けの頃までの限られた時間で作業を済ませる農作業で労力が半端ではないのである。
ブドウを間引くのに上げている手、上を向いての作業なので首に疲労がたまる、ブドウ棚が低いので腰が痛いなど・・・。
体の節々に疲労がたまる作業だからだ。
この過酷な作業を粒が大きくなりすぎないうちの限られた時間で終わらせてしまう作業であるから農家の人たちも大変である。
 この作業があって粒の大きな美味しいブドウを私たちは、食べられるのである。

摘粒作業の写真  アルチャーは、椅子に背もたれが付き、足を置く台に沿って椅子が回転するように製作してある。この回転する背もたれ付きの椅子がブドウ農家の人たちに良いようである。
時期がくると早く使いたい、また、時期が終わると来年まで注文の入らなくなるアルチャー(ぶどう摘粒用作業椅子)である。

 このアルチャーの問い合わせがこなくなる頃に毎年梅雨が明け本格的な暑い夏になる。
            (2013年7月)



 ◆ プロの使う道具
 徳島県で造園業を営むNさん「長野県に行くので三脚をお願いしたい」と電話があった。
 Nさんは、以前に弊社の三脚を購入してくれた方。

 東京の大学をでて東京で造園業の修行を積み、故郷の徳島に帰って仕事をしているというNさんである。
学生時代の友人の結婚式で長野県に来たのである。
ついでとはいえ徳島県から三脚を持っていくために軽トラックで8時間を掛けてきてくれたのである。
 
礼儀の正しい、今風の若い青年で地元での作業風景の写真を見せてくれた。

庭の剪定作業をしていると
     『プロの使う三脚は、違うね~!』
と言われる事があるという。

職人の使う道具ともなると、『顧客の満足度が増し良い宣伝になる』というのである。
安価な製品があふれている中でプロの使う道具は、職人のステータスシンボルとして役立っていることを教えてくれた。

 貴重な一日をさき上田によっていただいたので昼食に美味しいお蕎麦でもと思い昼食を一緒にとった。
翌日は、松本のホテルで友達の結婚式に出られたそうだ。
                    (2012年5月)
 プロ仕様の三脚
イメージ写真



◆ 2011年に思う 
 早いものである2011年も終わろうとしている。
今年は、大変な年であった。
取引先の方と別れ会社に戻った矢先に上田でも大きな揺れに襲われた。
2011年3月11日の私たちが今だ経験したことのない大きな地震そして津波は、東日本に甚大な被害をもたらした。
大地震による福島県の原子力発電所の事故は、今までの安全神話をも壊してしまった。
その後のニュースや記事を見るたびに悲惨な状況が目に焼きついた。
震災で亡くなった方やその家族、震災で多くのものをなくしてしまった方々のことを思うと心が痛む。

 また、一瞬にして私たちの価値観まで変えてしまったような大きな災害であった。
その後も幾日も余震に襲われ、いつも揺れているような「地震酔い」を感じていた。
あれから9ヶ月、いまだに残された多くの未解決の問題。
気の遠くなるような時間が必要といわれている放射能汚染の問題が私たちに重くのしかかってきた。

 そんなとき時期同じくして青森県の大学から注文を頂き荷物が出せない日が幾日も続いた。また、福島県の取引先からの注文も地震と津波による原発事故で尚のこと、いつ荷物を運んでくれるかわからぬまま時間が過ぎていった。
 地震後3月17日には、仙台市の造園業者さんから三脚のご注文をいただいた。
社長に地震の影響について聞くと「作業場が津波で流され全てを失ったが、自宅が高台にあり家族が無事だったので・・・」と気丈にいっておられた。作業場にあった3トンの重機が津波で1キロも流されたそうだ。
しかし、道具がなければ仕事ができないのでと弊社HPを見て三脚の注文をくれたとのこと。
災害直後だけに、たとえどのくらいでもご協力ができればと思い対応させていただいた。

  日本に大きなつめ跡を残した2011年は、あと幾日もない。



◆ 榛名にて
 
 帰りは榛名湖へ向かった。
途中、高根展望台で伊香保温泉を眼下に見て伊香保温泉を後にした。
榛名湖畔にあるロープウェイに乗り榛名富士の山頂から見たその景色。
上田から見るとは正反対の浅間山や周りのパノラマが晴れた空には眩しかった。
次に湖の向かいにある高峰美枝子の『湖畔の宿』の碑を見によった。 
人もまばらな場所の入り口でツツジやシャクナゲなどの苗を売っている老人がいた。
私たちに「ユリ根をくれるから持っていきなさい」というのである。
おじさんに「植木業を営んでいるMさんという方を知りませんか」と聞くと。
偶然にもMさんのことを良く知っている方だった。
信州からはるばる上州に来てなんと思いがけないことだろう。
Mさんの自宅まで教えてくれた。
あまりにも偶然の出会い!!
Mさんのことを良く知っている方に遇うとは・・・。
シャクナゲ・ツツジの苗を売っている老人
 榛名神社によった。
静まりかえった神社の境内は広く、険しい参道がその神社の本殿まで続く。
張り出した岩、幻想的な滝、古木が生い茂るさまには、身も心も洗われる。
本殿の後ろには ~これでもか~ といわんばかりに御姿岩が聳え立つ。

 Mさんは、15年ほど前に三脚を買いにきたのが付き合いの始まりである。
全国の職人にキタザワの三脚を紹介してくれた方だった。
根っからの“職人”のMさん。
 首振り型の三脚(プロ仕様)を立て軽やかに上がる姿は、なかなかのものであった。
“俺は、鋏一つあれば体のバランスがとれ綱をも渡れる”と言っていた。

 「Mさんから三脚や造園用ゴンドラを買った」という職人からの問い合わせがくるようになった。
 皆がいっていた「Mさんは・・・・」。

 実は“職人のMさん”数年前に亡くなった。

(2009年にブログに載せたものです。)



◆ 国産のアルミ製品 
 
 三脚の購入を検討していると電話やメールを頂き、お客様と話をさせていただくと多くの方が「ホームセンターにいって見て来ました」といわれる。
 「しかし、弊社のホームページを見て検討したい」と。
 ホームセンター、多くの販売店で輸入品が多くなり国産の製品を探すのが難しい時代になってしまったことをお客様との会話の中で実感する。
 国産の三脚をお使いになったことのない方が、果樹農家、造園業の方々の中にも10年以上の時間の経過の中で多くいるのではないか・・・・。
 弊社は、国産のアルミパイプを使い、溶接棒も国産に変えた「国産」にこだわっている。
 アルミ製品に限ったことではないかもしれないが、国産品を探すのが難しい時代といえる。
 
 以前、中国からアルミ製品の見積もりがメールで送られてきた。
 最近にはないアルミの高値の時、弊社のアルミ材の材料原価より安く、当時のレートで約6,000円の見積もりであった。
 あまりの価格の違いには驚いてしまった。
 アルミ材を裁断して曲げ、溶接をして仕上げる。私達の仕事は『職人仕事』。
 見積もりの品は、弊社のアルミの材料原価より安い、そこに人件費など諸々をのせれば販売価格が如何に違ってくるかご想像いただけるであろう。
 
 低価格の時代ではあるが、ご注文を頂きお使いいただいているお客様がいる。
 最近よく言われる「ニッチ」隙間産業の中に身をおいている。


◆ 信州上田のイルミネーション  

 年の瀬ともなるといろい気ぜわしいものだ。
 早いもので2009年も終わろうとしている。
 信州上田では、上田駅前ローターリーに毎年恒例のイルミネーションが飾り付けられる。
 11月27日に点灯式が行わ信州上田の冬の祭典が始まった。
 
 上田駅のイルミネーションは、今年で10周年目を迎えた。

 2008年9月以降の「リーマン ショック」後の景気の良くない中「100年に一度の経済危機」といわれ早いもので1年以上すぎてしまった。大きな政治の転換期でもあった年である。
 良い話題のない昨今ではあるが、年末ともなるとあちらこちらで師走を思わせる話題が多くなる。
 鮮やかに飾り付けられたイルミネーションには、心も癒される。
 今年もあと残すところ僅か。

 上田駅前のイルミネーションの飾り付けに使うと言うことで今年も地元の造園業者さんからアル三脚の注文を頂いた。一昨年になろうか、やはり同じようにイルミネーションの飾り付けに使うと造園業者さんから三脚の注文を頂いたことがあった。
 イルミネーションの高い場所での飾り付けに使う三脚は、長尺物のKⅡS型をお使いになっている。 場所によっては起伏のある場所があるので側面が1ヶ所スライドでき足場のステップを水平にできるのが良いとのことである。


                「信州上田の初冬の風物詩」
       上田駅お城口の広場で恒例のイルミネーションが飾られました

上田駅のお城口イルミネーションの写真

上田駅前のイルミネーション 上田駅を飾る10万個のイルミネーションの灯り 三脚を使っての飾りつけ風景



◆ 北沢初代の三脚  
 先日、JA(農協)さんからアルミ三脚の修理の依頼があった。
 このJA(農協)さんとは、二十年以上の取引がある。
 修理品の三脚は、弊社で作り始めた最初の頃の物だ。
 アルミ三脚を販売してから何度かモデルチェンジをしたが、しかし、この当時の三脚の修理品は大変に珍しい。
 以前に書いたことがあるが、まだパイプにアルミの縞模様を起こす前の三脚である。
 りんごの果樹農家にとって三脚は、ほぼ一年中使う道具だが、この三脚を使っている農家の方は、丁寧にお使いになっているのがこの古い三脚を見るとよく解る。

キタザワの初代の三脚の写真 天板の写真 ステップの写真
  

◆ 溶接作業(TIG溶接)
 果樹園用に使う三脚をアルミニウムで作り始めた当初は、アルミに関しての知識が乏しかった。アルミは、軽くて錆びないというくらいであった。
 販売店の中には、展示会で『半永久的』という間違った販売方法をとっていた業者もいたくらいである。
 その当時は、アルミについて調べようと思ってもアルミに関する資料を探すのも大変な時代。
 今のようにインターネットが普及して自分の探したい情報を身近で何でも探せる時代でもなかった。
 情報格差(デジタルデバイド)の時代というが改めて感じる昨今である。

 アルミの溶接棒は、高価で量も使うので何とか安価にできないものかと溶接作業をしながら考えていた。
 溶接棒よりも安価なアルミの板を使えばと考えたのである。溶接棒の太さに切って使えばより安くあがる。しかし、アルミニウムは、品番別に1000番から7000番まであり、またその中で多く分類され100種類以上のアルミ合金があると言われている。
TIG溶接風景

 多くの種類のアルミ合金の中でそれぞれの用途に合ったアルミ合金が使われているのである。

 アルミ三脚に使われるアルミ合金は、耐食性がよく、強度があるなどは最低限に必要である。より強固な製品にすべく、溶接構造(TIG溶接)の製品だと表面処理ができないのである。

 溶接棒に適したアルミ合金は何種類も無く、アルミの母材とは相性もあるのである。
 当初、私が考えたように何でも安価にして使えば良いというものでもないのである。
 多くのメーカーの多くのアルミ三脚が出回っている。

 しかし、アルミの材料を1つ取っても『アルミはアルミ』みんな同じではないのである。
 アルミニウムに関する知識を高めようと思われる方は、ネットで検索できるので多くは記さない。


◆ シルバー人材センター講習会
 平成17年に長野県のS地域シルバー人材センターからアルミ三脚の修理の依頼がきた。
 伺って局長から修理品の三脚を見せていただいた。
 置き場所の下には、三脚の足を埋め尽くすほどの雪が残ってる。
 近くのホームセンターで買ったであろう10号から12号と長尺ものの三脚が多かった。見るとほとんどの三脚が修理の必要な物で、中には支柱の足が折れて角材の棒をさしてあるものまであった。
 「会員さんの中には、自分の三脚ではないので修理品であっても使ったら、そのまま置き場所に返しておく人がいる」と。
 次に使う人が、その三脚を使って事故にでもあったらと危惧しておられた。
  (現在は、会員さんが個々に持っているとの事)

 そのとき局長から安全講習会を開くので会員の技術向上を図り、事故防止への意識を高めるために話をしていただきたいという依頼があった。
「剪定作業の際に安全に三脚を使うには」という題目で話をしてくれないかと言われ。
シルバー人材センターの会員さんが安全に使って頂くために少しでもお役に立てればと思い承諾した。

 私は、「三脚のこと、アルミのこと」について話をした。
 2月の寒いとき、一週間ほど前にひいた風邪が治らず体調は万全ではなかったが、かかり付けの医院の先生から薬を処方していただいて何とか当日を迎えた。
地元の地方紙に載った講習会の写真

 私が20数年アルミの三脚を作ってきて安全に使っていただくには、まずアルミという金属の特性を少しでも知っていただかなければと思い最初は、「アルミニウムについて」という題にした。
 そして、修理品などの多くの三脚を見てきて「より安全に三脚をお使い頂くには」ということで話をし、また、三脚は地域によって異なるといった「地域性」についても話をさせていただいた。
 安全講習会には、40人ほど方が参加され、皆さん勿論、私よりも人生の先輩達である。真剣に聞いておられたのが印象的であった。 

 最後に、「ハインリッヒの法則」をたとえに出して話を締めくくった。1:29:300の法則である。1件の重大な災害の裏には29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏には怪我はないが「ヒッヤ」とした300件の体験があるというものだ。「ヒッヤ」という体験を無くすことにより、より安全に三脚を使うことができるのである。

 ご使用になられる方の事故防止のために使用方法を表記しております。

 長年、顔なじみの地元の職人さんの修理品を見てきて”道具の使い方”が出ているものである。

 私たちの製造業でも同じであるが・・・


 冬の果樹園
 新年早々、近くの果樹園を通ってみると剪定作業に追われている農家の方が何人かいた。
 今まで雪もなく剪定作業も捗っているのではないだろうか。

冬のりんご畑 冬のぶどう畑
  取って付き踏み台 H3-17型

 15年以上前になる東北地方の経済連の職員がリンゴ作りは良い品質を作る。それは、「長野県に追いつけ追い越せだ」と言っていた人がいた。

 農家の方との話のなかで“近年温暖化が進み美味しいリンゴが北へ移っている”と言うのだ。
 北海道のJAの職員の方も電話口でいっていた「良い品質のいろいろな果樹が作れますよ」と。

 ワイン作りでも長野県の塩尻市が山梨県の気候と同じようになってきているというのだ。
今まで以上に塩尻では、ワイン作りに適した気候になってきているらしい。その方は「気候変動がより北に行くことを前提にして、それに適したワイン作りを考えていかなければ」といっていた。

 大変印象に残った言葉だ。
 今まで「気候変動の予測」というものが生産者の中にあっただろうか。

 埼玉県に仕事で行ったとき「埼玉の花園近辺でミカンを見た」と話をしたところ、寄居町あたりがミカンの北限である。と教えてくれた。
 それがなんと上田でミカンが採れるというのだ。
ハウスでのミカン作りとはいえ、なんと「リンゴ」ではなく「ミカン」である。
 また、出荷もしているというのだ。
 私の住む上田市で・・・
 
    驚きである!!
 


◆ 「点」から「面」へ
 アルミ三脚を作り始めてから三脚のステップは、平成2年までは丸のパイプを使っていた。
 そのころは、果樹農家の方が多く「鉄製の三脚と比べて大変軽くてよい」ということで注文を頂いていた。
 それもそのはずである、鉄製の三脚の6号とアルミ製の三脚の10号がほぼ同じ重さである。

 アルミの三脚が普及するにつれて、造園業の職人さんや家庭での庭の手入れにという事で使われる方が多くなってきた。

 造園業の職人さんは、同じ場所での作業が多く、特に地下足袋を履いて作業されている人は、足が疲れるという話をされる方が多かった。
 そこで平成3年に弊社では、ステップを平らな面のパイプにした。
 「足の疲れが軽減された」という職人さんの声が多くなった。
 一方果樹農家の方からは、冬の剪定作業の際に「足場が滑る」という声が出てきたのである。

 「あちらを立てればこちらが経たず」である。
 
 アルミニウムは、熱伝導が良いために冬には凍りやすいのである。
 ステップが丸のパイプは、靴の当たる場所が「点」であるが、ステップが平らな「面」になると雪や水が付くと凍りやすくなるのである。
平らなステップ 「足の疲れを軽減する」平らなステップ
  「ステップは、平らなほうが足の疲れを軽減してくれる」という、
  ご意見を多く頂いて今に至っている。

 


◆ 一輪車のタイヤ
 最近、一輪車のタイヤでノーパンクのタイヤというチラシが目に付く。
以前は、ノーパンクのタイヤのチラシは見なかった。

 アルミ製の一輪車を作り始めたのは、今から十年ほど前だ。そのころは、タイヤを仕入れる際に一輪車のタイヤといえば日本製であった。その後、年を追うごとに中国製の安いタイヤが出回ってきたのもこのころだ。
             
上田 JA祭風景
平成16年 地元でのJA祭 風景

 デフレスパイラルといわれ日本経済が縮小し価格の安い輸入品が、ホームセンターなど多くの量販店で売られるようになった。

アルミ三脚などは、「中国製品が出回ると価格の安さから、庭の手入れにと長尺物の三脚が良く売れるようになった」といっている業者がいた。

 昔だったら国産の品質の良い一輪車のタイヤは、パンクをしたら農機具店や自転車販売店でチューブなどを交換して使っていたが、今ではゴム質やベアリングに問題があったり、ホイルの色が日光にあたると数ヶ月で褪せてしまったりと輸入品の品質の著しい低下を招いている。
昔のようにタイヤのチューブなどを交換して使うということがなくなってきた。 
国内の一輪車のタイヤを作るメーカーも数が少なくなったと聞いている。
品質はともかく、輸入品の新しいタイヤを買ったほうが安いのである。 
 
 その様な品質の落ちが、チラシで最近良く見かけるタイヤに空気を入れなくてよいノーパンクタイヤではないだろうか。
 

◆ 焼却炉をアルミで作った
 今は、野焼きはだめだ、自宅での紙の焼却すらいけないといっているが、
それ以前は、多くの市町村は補助金を出して家庭用の焼却炉の購入を推奨していた。
 それが、平成14年12月から180度の政策の転換である。環境破壊になるので全ての家庭での焼却はダメと言うではないか。
 当時、我が家でもゴミを減らそうと思い焼却炉をアルミで作った。
 一作目は、失敗に終わった。
 それはなぜかと言うと焼却炉の本体が燃やす熱で溶けてしまったのである。それもそのはずである。
 たばこの火でも800~900度にもなるのだから、我が家で作ったアルミ2ミリの縞板は、燃える熱で使っているうちに淵の何箇所かだれてしまったのである。 
 そこで、中に鉄板の板を張りめぐらして焼却炉を作った。
    【溶融点】
            アルミ   約  660℃
            鉄 板   約1,530℃

 アルミ製の雪つき
 昨年(平成18年)は、各地で大変な豪雪であった。私の住んでいる上田でも例年にはない大変な雪であった。それに比べ今年は、1月半ばに2度雪つきをしただけで終わってしまい雪の降らない年になってしまった。地球温暖化とは言うが、今年ほど何か顕著に現れると環境破壊のことが実感として心配になる。

 ところで、今年も言われたのであるが、「雪つきをアルミで作ったらどうですか?」と言うのだ。以前から同じ事を何度か言われていた。
 以前に実は、雪つきを作ったのである。ハンドラッセルタイプの雪つきであったが、結論から言うとアルミのハンドラッセルタイプの雪つきは使い物にならなかった。
 市販の雪つきの肝心な雪を突く部分が壊れてしまい、捨てるにはちょっと惜しかったのでアルミの板で作り、出来ばえもなかなかであったので早速、会社の駐車場の雪つきに使ってみた。「ガタつきもなく雪を突くのもまずまず、雪をすくい上げ1,2,3・・・1,2,3・・・」なんとすくい上げた雪を投げようとしても窪みに雪がくっ付いてしまい離れないのである。
 軽くて丈夫であるが、この様なアルミの雪つきは販売されていない。
 アルミは低温脆性がなく熱伝導が高いのである。アルミは寒さには大変愛称のいい金属である。そのためにアルミの板に雪が付着してしまい雪が窪みから離れないのである。
自作の雪つきの写真
◆ センサー付き三脚
 あれから何年経つだろうか。
 高度成長の真っ盛りのときで、PL法が施行(平成7年)される以前である。
 PL法施行後のように「脚立の天板には立つな」「使用角度は何度」というような、注意書きを付けていない会社が多かった頃である。 
 リンゴ作りも企業の贈答用などに使われ出荷が盛んな時だっただけに、農家の人達も作ればよい値で売れると張り合いのあった時代である。
 地方紙に載った記事だ。
 A社が「技術試験場と共同開発」
 その記事の内容は、農家の人達が高齢化してきて、三脚の転倒、転落事故が多く、それを未然に防ぐために三脚にセンサーを付けて、人が転倒、転落する前に三脚のセンサーが感知し「音」で教えてくれるというものであった。
 「収穫が終わり一年の疲れをとる時期になると整骨院が高齢者で賑わっている」という話を聞いた後だけに、説得力があった。

 だが、そのセンサーで転倒を防ぐことを作業者に教える時には、既に脚立から落ちているのではないか・・・・。
 この記事のその後「センサー付きアルミ三脚」が売り出されたという話は聞かなかった。
◆ リベット止めのアルミ三脚
 初回ともなると何を書こうか考えるものだ。
 やはり私の原点は、この三脚を見た時から始まっているので、これを題材にした。それは『リベット止めのアルミ三脚』である。
 いまから20年ほどまえ農機具店にセールスに行ったとき、店先に置いてあった三脚でメーカーが解らない。
 アルミ材はもとより、溶接構造のアルミ三脚も大変高価であったころ。アルミのパイプを頼むと一本一本袋に入り油が付着し、それをウエスで拭いていたのを思い出す。そんな頃である。

 そのアルミ三脚は、各パーツ単位では溶接はしてあるが、主要な箇所はパイプとパイプをリベット止めにしてあった。リベット止めであるので各部ごとに表面処理のアルマイト加工されていた。それを繋いで製品にしていたのである。
(アルマイト加工すると表面のアルマイトを取らないと溶接ができない)
 このアルミ三脚がなぜ、溶接構造のアルミ三脚が出回ると普及しなかったか。
果樹農家の人達や造園業の職人さんは、春夏秋冬ほぼ一年中作業に使っている。
リベット止めのものは、使っていると溶接構造の物のようではない軋みやガタが出てしまうからである。

 長年アルミ三脚に携わってきて修理等で他社の三脚を見てきたが、このアルミ三脚に出会うことは、それ以降なかった。
 しかし、つい先日この三脚が修理品として持ち込まれたのである。
 私にとっては、とても感動する一品である。

      【接合方法】    機械的結合法     溶接法
リベット止めの三脚の写真1 リベット止め三脚の写真2 リベット止めの三脚の写真3




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